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アメリカの教育システム

アメリカの教育システムは日本との違いが大きく、子供を現地の学校に通わせている親は戸惑うばかりです。私と二人の娘は、夫のアメリカ駐在に伴い1987年にロスアンジェルス郊外に住居を構え、異文化の国での生活がスタートしたのです。
当時小学校5年生と2年生の子供たちを、どのように教育するか充分に検討し、現地の学校への編入を決定いたしました。あれから14年余、彼女達は一貫してアメリカの教育を受け、現在大学院生、大学生となり勉学に励んでおります。
子供を小学校から高校、そして大学、大学院までアメリカの教育を受けさせた中で、常に学校に関わり、先生方と接触していた私は、アメリカの「教育理念」、「学校のシステム」、「指導方法」などを直接見ることができ、学んでいったのです。そしてそれは私の子供の教育に対する考え方、そして人生観までも大きく変えたのでした。
私は、アメリカの教育すべてが素晴らしいとは思っていません。日本には日本の教育の良いところもたくさんあります。それぞれの特徴は生かしながら、改革すべきところは早急に変えていく勇気と決断が必要ではないかと考えます。
第1回目は、アメリカにおける教師という仕事について、その指導方法、そして学校と親との関係について述べてみたいと思います。

1、アメリカの「教師」という職業

アメリカで教師になるには、4年制の大学を卒業し、必要な教職単位を履修していることが必要です。教育実習期間は州によって様々ですが、8週間ほどのところもあります。「校長」になるには、更に学校経営やカリキュラムなどの単位を取得し、面接試験に合格しなければなりません。
また教員試験を受ける年齢にはまったく制限がありませんので、何歳になっても挑戦できます。大学を卒業して他の職種に従事していたが、教師になりたいと思い立ち、「先生」に転職した方も多いのですから、実に柔軟なシステムには驚かされます。
また、私がとても感心したことがあります。学校だけではなく一般企業でも、働く人が『リタイヤ』する年齢を決めていないのです。日本のように、退職年齢を雇用側が決めるのではなく、働いている自分自身が決めるのです。
娘の通っていた小学校で、生徒と共に運動するのはとても無理…と思われる“おばあさん先生”がいました。このベテランの先生は、数十年にわたり5年生を担当されていた方で、生徒から慕われ信頼されていたのです。自分の体力と気力の続く限り、子供に接していたいと考える貴重な先生でした。
アメリカは「個人」を尊重し大切に考える国であることに気付き、大変感動いたしました。

教師の給料の基準は、所有している学位や資格によって決められています。日本のように、経験年数ではありません。大学卒と大学院卒、博士課程(ドクターコース)修了と修士課程修了の人では、支給額が違います。そして夏休みである約2ヶ月半の間は、給料が支給されませんので、その間だけ他の仕事に従事して収入を得ている先生もいるようです。
またアメリカの学校には『職員室』がありません。各教師は自分の教室を持っていますので、そこが職員室にもなっているのです。同じ学年を長年担当する教師は、その学年のスペシャリストとなり、教室内に多くの資料をストックして生徒への指導にあたっています。

次に小学校、中学校、高校における教師の役割などをご紹介します。
小学校は担任制で、ひとりの教師がすべての教科を担当します。クラスの中では算数や国語(英語)は3段階ほどにレベル分けされており、そのレベルに合わせてテキストを変たり、それぞれに教材を与
えますので、きめ細かい配慮が必要となります。教師は長年にわたって集め、研究された教材を駆使して指導にあたっています。

中学校は担任制ではなく、教師は担当する学科を自分の教室で教えます。生徒各自が自分の時間割を持っており、それに合わせて担当の先生の教室を廻るシステムになっています。生徒の生活指導や心理面のケアーは、スクール・カウンセラーや、スクール・セラピストが担当しますので教師は携りません。

 高校は大学と同じシステムで単位制であるため、数学、英語、社会科、理科などの教科がデパートメント制(学部、科)になっていて区別されています。教師は各デパートメントに所属し、やはり自分の教室をもって指導にあたっています。このようにデパートメント制度を取り入れると、教師は自分の担当する教科だけを教えていればよく、生徒に対して生活指導や心理面のケアーはしません。高校の場合も、各学校には数名のスクール・カウンセラーがおり、科目の選択、勉強や成績、進路の相談そして悩みのカウンセリングなどを引き受けています。また学校内での問題に対しては、生徒指導を行いますが、学校を一歩出れば、親の責任において対処するルールがあり、学校外での問題に関しては対応しません。
アメリカでは生徒が校門を一歩出れば、そこから先は親の責任範囲なのです。日本のように、生徒が学校外で起こした問題に先生が狩り出され、対処しなければならない現状をみると、先生が気の毒でなりません。教師への負担はもっと軽くするべきではないかと考えます。そしていつも感じることなのですが、責任者である親の姿が見られません。非常に不思議な国のようです。

校長の仕事は、学校の基本教育方針を決めるほか、体外的な仕事も実に多いのですが、それにもかかわらず、いつも学校内を歩いて生徒と接触を持っています。そして何か問題を起こした生徒がいれば、校長室に連れて行き注意をするのです。また担任教師も、何回注意をしても聞かない場合「校長室へ行きなさい!」というのが最後の通告で、生徒を校長室に送り込みます。1日に何人もの生徒が送り込まれる日もあり、校長はひとりひとりに注意しクラスに返すようにしています。中学・高校の校長の場合、重大な校則違反の生徒に対しては、親と相談の上、警察を呼ぶ場合もあります。
アメリカの学校の校長は、日本の学校の校長とは大変に異なったイメージがあります。良い悪いは別として、生徒との関わりを頻繁にもつことは大切な要素ではないでしょうか。

またアメリカでは、先生が生徒を評価するだけでなく、学年の終了時に生徒と親が先生の評価をする
システムもあります。私立校に多いのですが、その評価結果によっては、辞めさせられるケースもありますので、教師も安閑とはしていられません。

2、生徒への指導について

教師の指導方法をご紹介する前に、まずアメリカでの子供に対する育て方の基本をお伝えしなければなりません。この国の人々は「子供が幼い時は、何も解らないのだから大人の言うことは聞かなければならない」と考えています。従って幼い頃の家庭での躾が大切なわけで、家庭内のルールを作り、役割分担を決めて厳しく育てます。家庭においては親の言うことを聞き、学校においては先生の言うことを聞かなければならないというルールが社会にはあるのです。
日本のように、「幼い子供なのだから、何も解らないのだから仕方がない」と許してしまえば、躾の時期を逃してしまうことになります。厳しくすると、反発したりぐれてしまうのではないかと、子供にビクビクしている親が最近非常に増えている気がしてなりません。幼児期をこのように甘やかされた環境で育てられた子供が、学校という集団生活の中でルールを守ったり、先生の言うことを聞く姿勢で学習に臨むことはできません。
教科を学ぶ態度は、小学校入学前までに訓練されていなければならないと考えます。日本の家庭教育がしっかりなされていないために、学校の先生方は学級崩壊などという問題を抱え、大変苦労されているのではないでしょうか。海外から日本の親たちそして先生方にも強く申し上げたい。子供に対して毅然たる態度で接すること、そして決して過保護にしてはならない、本当の愛情は子供を早く自立させることであると思います。
アメリカは、3歳までに自立させることを目指して育てます。幼児期の土台があって学校生活が始まるわけですが、子供たちは“家庭内のルール”の中で育てられた後、“教室内のルール”が加わることになります。

私の子供がお世話になった先生方を通して、次のことがアメリカ式指導法であると理解しました。

  1. 誉めて教育していきます。しかし言うことを聞かなかったり、校則に違反した場合は、厳しい措置が待っています。
  2. 教室内のルールを作り、それを守るように生徒を指導していきます。ルールを破れば「Time out」を宣告され、教室外に出されます。時々教室の外に机を運び、一人で勉強している子供を見かけました。
  3. 先生の生徒に対する接し方や言葉がけは、相手を尊重した態度なのです。

先生は生徒に注意したときや叱った後で、必ず「Thank you.」と言います。私は素晴らしい習慣であると感動したことを覚えています。これは「私の言うことを聞いてくれてありがとう」また「私が仕事をし易いように協力してくれてありがとう」という意味だそうです。これはやはり英語という言葉の持つ文化ではないかと思います。英語はポジティブ思考ですから、良い面を捉えていくのです。そして一人の人間として尊重し、認めている態度であると思います。
頭から命令したり、叱ることの多い日本の先生は、ぜひ「相手を尊重する態度、相手の意見を尊重する姿勢」を忘れないでいただきたい。子供に対して大人と同じように接することが望まれます。

  1. 生徒の個性や個人差に対応しながら指導しています。3つのレベルに分けることもあり、与える教材が一つではないため、その準備や指導を要領よくこなさなければならないようです。
  2. 教科においては、常に生徒に考えさせるよう指導します。まず考えさせて意見をもたせ、次に発言できるように導くのです。授業中にも「Why?」「How?」「What ?」と生徒に質問していきます。一方的に知識を教えるだけではなく、生徒に考えさせていく指導方法は、日本が早急に取り入れられるべき点ではないかと考えます。

    
アメリカは「Why ― Becauseの文化」と言われていますが、一般市民の間の会話でも、必ず“Why”と相手に質問し、相手は必ず“Because”で答えます。教師からの質問に対し、生徒は自分の意見を述べるわけですが、教師はその答えが正しいとか間違っているなどと言うことは絶対にありません。その生徒の考えなり意見はあくまでも尊重します。
アメリカの教育は、民主主義を守るための教育です。すなわち民主主義とは、「国家の主権は人民にあるとする思想に基づき、政治の上で、国民の意思を尊重する主義である。」と定義されているように、この民主主義を貫くために、国民一人一人がしっかりと自分の意思を明確にし、発言できるように教育しているのです。

3、学科における指導方法

アメリカの学校では、州の教育局、市の学校区(School District)が決定している学年の基本指導要綱はあるのですが、授業内容や指導方法はすべて教師に任されています。テキスト(教科書)に沿って授業を進める教師もいれば、独自の教材を多く取り入れて指導する教師もいます。独創性が問われるわけですが、生徒側から言えば、先生の“当たり外れ”がはっきりしていると言うこともできます。
アメリカの学校で実施されている2つの特徴的な指導方法をご紹介します。一つは「Show and Tell」という方法、もう一つは「Critical Thinking」という方法です。

「Show and Tell」と「Critical Thinking」
「Show and Tell」というのは、幼い頃より自分の意見をもち発言できるように、そして人の意見を聞くこともできるように教育するための指導方法です。
先生は子供に、大切にしているものを1つ持ってこさせ、皆の前で発表させるのです。娘は親が始めて買い与えた「ぬいぐるみ」を持って行き、いつ誰に買ってもらったのか、名前そしていかに大切にしているかを話したようです。そして生徒や先生が質問をしますから、それに答えるのです。またクラスメートが発表をしている間は、じっと座って聴いていることを要求され、落ち着きのない子どもは注意を受けます。この指導方法は小学校に入ってからも続きますが、内容が高度になってきます。小学校では、生徒に自分が興味ある新聞の記事を拾って来るように伝え、その内容について一人づつ前に出て発表させます。
この指導方法はキンダーガ-テンから取り入れられていますから、アメリカ人が自分の意見を持ち、はっきり発言できるのも理解できます。訓練されているのです。
また「Critical Thinking」というのは、ものの考え方をプロセスで教えていくという指導方法で、教師が授業の中で「Why ?」「How ?」「What ?」と質問をして、生徒にそれについて考えさせ答えを求めていく方法です。また「AとBの違いは何ですか?」「AとBの共通点は何だと思いますか?」等々。質問をしながら授業を進めていきます。
テストや宿題も質問の形式がとても多いのです。娘が通っていた高校では、中間や期末試験になると、
1科目に2時間与えられていました。社会でも理科でもエッセイが多いですから、自分の言葉で時間をかけて書き上げなければなりません。
そして宿題の量が大変多いのですが、レポートやリサーチをしてまとめるようなことばかりです。小学校の時から親子で毎日のように図書館へ通いました。また自分の考えや親の考えを書く宿題が多く、意見を持たない日本人にとっては、とても苦手とするところのようです。
高校になると「ディベート」(討論)をよく授業の中に導入しています。例えば昨年、4年に一回の大統領選挙が行われましたが、クラスの中でブッシュ派とゴア派に分け、なぜブッシュを応援するのか、なぜゴアを応援するのか、それぞれ自分の意見を言わせて討論させるのです。また「もし自分が大統領に就任したならば・・・」というテーマで、スピーチさせることもあります。アメリカの大学には、「スピーチ」を学ぶ学科があるくらいですから、スピーチが上手か下手かは大統領選ともなると大変重要なポイントになるわけです。それも「ジョーク」が織り込まれていることが要求されますから、他の人が作成した文を読むだけ、などという演説は在り得ません。
また社会の時間などに、生徒を裁判官、判事、弁護士そして被告や原告の立場に置かせ、模擬裁判を体験させます。各々の担当が自分の立場で意見を述べ、ひとつの問題を解決していくのです。
このように実社会との繋がりを最大のテーマに、生徒に体験をさせながら各授業は進められますので、日本のように学校が「社会からかけ離れた場所」という印象は全くありません。社会情勢にすぐ反応し、授業の中で取り上げる姿勢は見習うべきものがあります。生徒が興味を持って授業を受けることこそ、学校教育には何より重要なことではないでしょうか。

私の娘を含む日本人子女は、言葉のハンデもありますが、これらのアメリカにおける教育方法で行われる学校の中で、クラスへの参加が難しいのが現状です。家庭に於いても学校に於いても、自分の意見や考えを理論立てて人前で発言するような教育を受けていないからなのです。日本は「人の気持ちを察する」という文化がありますが、‘アメリカでは通用しません。彼らには100%言わなければ理解してもらえないのです。従って日本では「アメリカ人は主張しすぎる」と言われていますが、そうではなくて、多民族国家であることや言語文化の違いからくるものであると思います。
私はこれらのアメリカの学校における指導方法に触れたとき、これこそが本当の教育ではないかと大きな衝撃を受けたことを覚えています。精神的に早く自立させ、個人を確立させることがアメリカの教育の根本なのです。そして私の子供たちは「アメリカの教育」で育てたいと決心し実行してきたのです。

今までの日本は、自分の意見を言えば「出過ぎる」と言われ、叩かれる社会でした。しかしもう変えていかなければなりません。自分自身のことがしっかり言えること、考えを述べられること、そして人の話を聞く姿勢をもつことができるように、日本の教育を変えていく必要があります。
そして「人間はみな違う」という発想から、子供の個性や個人差に対応した教育が大切です。例えば能力の低い子供は低いままでよいと言うのではなく、伸ばす努力をさせることも必要ですが、何か他の素晴らしい能力があるかも知れません。それを見出し認めてやることも教育です。人と同じでなくてよいのです。

4、学校と親との関係

アメリカの学校では、親との関係が大変密接なのです。親の協力がなくしては運営できないシステムになっています。このシステムによって学校教育が行われ、良い協力関係が続けられているのですが、それには理由があります。

  1. 子供を育てていくのは学校や先生だけではない。親も学校教育に関わることで、三者一体となって教育が行われることが大切である。そして自分の子供の教育は、学校だけに任せるものではないと考えている。
  2. 地域の学校を高いレベルに保っていきたい。これはアメリカの学校運営費が、住民の「不動産税」から賄われていることによるものである。学校のレベルと不動産価格は密接な関係があり、学校のレベルが低下すれば、家の価格も低下することにつながるのである。従って親は学校教育を支援して、良い学校づくりに協力している。

小学校では9月の新学期に、親たちに学校内でのボランティア募集の用紙が配られます。その中から協力できるものを選んで印を付け、担任に提出します。PTAのメンバーは除いて、主なものは「クラス・マザー」、図書室の当番、学校行事の手伝い、「Trip」と呼ばれる遠足の付添いなどがあります。
クラス・マザーは担任の補助的な仕事をするのですが、テストの採点、教材の準備、生徒へのサポートそしてクラスで行うイベントの手伝いなどもするのです。私は子供の通っていた小学校で、図書室当番や行事の企画と準備、そして担任に依頼されて、劇の時に必要なバックの絵を描く仕事などいたしました。また遠足や社会見学の付添いもしましたが、私自身も生徒の一人のように学ぶことができ、大変に良い経験であったと喜んでいます。
中学や高校では、親の関わりが少なくなるのですが、クラブなどは親の協力で運営されています。私の長女が高校の時、「マーティング・バンド」に入っていたのですが、大変積極的に親たちがサポートしているのに驚きました。毎月1回、クラブ担当の先生と親とのミーティングが開かれ、活動の内容や資金集めのことが話し合われたのです。父親の出席が多いのにも、日本社会との違いを感じました。
その他、毎週1回行われているフットボール・ゲームの応援をするのですが、他の高校へ遠征に行くときには付添いとして親が行くのです。そして年1回のパーティー開催や征服の採寸にも関わって支援しています。
また親は自分の子供が不利にならないように、疑問や納得のいかないことがあれば学校なり教師に
発言していきます。学校もオープンですから、聞く体制を整えています。
このようにアメリカの学校教育は、教師と親が一致団結して行われており、家庭と学校、地域と学校が一体となって、これからの国を背負っていく大切な子供の教育に力を注いでいるのです。
アメリカの、地域住民がみな手を差し延べて子供を育てるという血の通った教育に比べ、日本は、役所が管理している『学校』という枠の中に子供たちが入れられ、管理教育されているように見えてならないのです。今までの日本はそれによって成長してきたこともあり、一概にマイナスだとは言えませんが、子供たちを管理していく教育は、日本人が変わってきていることを踏まえると、もう変えなければならないのではないでしょうか。
そして親が子供の教育は学校でと考える、他人任せの教育も認識し直す必要があります。学校は『学問』を教えるところ、躾は家庭で親がするものであるとアメリカの教育を通して学んだのです。

 

次回は、アメリカの「個性と個人差に対応した教育」「自主性を育てる」そして「アメリカの家庭教育」
についてお伝えしたいと思います・




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